クリスマスまで…。お正月まで…。

LakeSide

2008年12月20日 08:43



1年ほど前から入院していた葉っぱのおばあちゃんの命があとわずかになりました。

入院先の医者から12月のはじめに「あと一週間」と言われました。
覚悟を決めて、何度も「もうこれが『さいご』かも」と思って会いに行きました。
声をかけても、誰がしゃべっているかもたぶんわからないでしょうが。

自分のために、会いに行っていました。
おばあちゃんの病気は「若年性アルツハイマー」という病気です。

65歳までに発症しているのでそういうそうです。
 そして、今は膀胱~大腸、もう体中にガン細胞が転移しています。

 あと一週間といわれ、3週間がたとうとしています。

 さいごの人生のターミナルで必死にがんばっています。
 声をかけ続けても、つらい顔をするので見ていられなくります。
 すこし落ち着いてきて、眠っているように見えたとき、

 「もう、帰るわな」と声をかけると、つむっている右の目からぽろっと涙が出ました。

 「もう、帰る」と言った言葉が通じたのか、またとても強い痛みが起こったからなのか

 それはわかりませんが、私には「帰らないで…」と訴えているように思えました。
 そして、帰れなくなりました。

 ブルーレイ・レコダーを買って、息子さんの生まれたころのDVをHDDに
 ダビングしていると 10年前、まちに待った孫の姿をとてもうれしそうに
 眺めたり、声をかけているシーンがたくさん出てきます。

 このころ、まだ赤ちゃんである息子のビデオを私はいっぱい撮り続けています。
 おじいちゃん、おばあちゃんのところへ行くときには、よく新しいDVカメラ(ハンディ・カム)
 を持って行きました。

 息子が物心着くまで、おじいちゃんおばあちゃんが元気かわからない。
 自分がおじいちゃん、おばあちゃんをはじめ、たくさんの人に喜ばれて生まれてきたんだ
 という証を残しておきたいと思っていました。
 
 そして、まだ元気な自分の親の映像をしっかり残しておきたいと思いました。

 今となっては、これらの映像がとても貴重なものになっています。
 自分の親が必死に3人の息子を育て、6人の孫にも恵まれ、
 それぞれの息子が大切な家族を持っています。

 この今あるそれぞれの息子たちの大切な家族が、今73年の人生を終えようとしている
 私の「母の遺してくれたもの」だと思います。

 そして、やがては6人の孫たちにも新しい家族ができ、「母が遺してくれたもの」が
 このおばぁちゃんの記憶とともに、受けつがれていくでしょう。

 おばあちゃんに少しでも長生きして欲しいからと、おばあちゃんのベッドのそばで
 息子さんは、国語の教科書を大きな声で音読したそうです。
 
 そういえば、うちの息子が大きな声で上手に本を読むのをおばあちゃんは
 いつも、とても喜んで聞いていました。

 「クリスマスまで…」「お正月まで…」
          
         でも、「もうあんなに苦しませないで…」



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