海よりもまだ深く

LakeSide

2016年06月11日 15:29

公開中の是枝監督作品を映画館で見た。

今年度は休日に時間の余裕があるようになったこともあるかな


今日は夕方遅くまで一日中、模試のために学校へ行っている息子さん。


部活を引退したら、すぐに大学受験生モードかと思いきや そうでもないらしく


7月の学園祭を控え、いろいろいそがしそうだ。


お母さんは、年に2回あるというバドミントンの団体戦出場のため、朝からけっこう遠い長浜までいった。


模試が終われば、夜には部活の打ち上げに行くという息子さんの送迎が今日の仕事です。

(実際には、お父さんは居間でごろ寝していたので、お母さんが迎えに行きました。)


「海街diary」「歩いても歩いても」「そして父になる」と

テレビやレンタルでみてきた是枝監督作品を はじめて映画館でみた。


映画は、作家として芽が出ずに探偵をして暮らすダメ男(阿部寛)と


元妻(真木よう子)、その息子が、ダメ男・良多の母が暮らす団地に思いがけず集い、


台風が通り過ぎるまでのひと晩を過ごす姿を描いている。


「こんなはずじゃなかった」という思いをもちながら今を生きている登場人物が何人も出てくる。


「海より深く人を好きになったことなんてないから生きていける」


「幸せって、なにかをあきらめないと手に入れられないの」という


良多の母を演じた樹木希林の“セリフ”が「深い」と思った。





「みんな なりたかった大人に なれるわけじゃないんだよ」というセリフが、

ダメ男「良多(阿部寛)」のセリフにあった。




これからの日本は、社会全体としては「下り坂をそろそろ下る」社会だという。(平田オリザ)

そんな現代社会では、良太のような思いを抱きながら、今を生きている人が多くいると言うことを意識しないと・・・。

人との関係も築きにくい、そんな世の中になるなぁ・・・そんなメッセージも感じた。



多くの誰彼もが、「リア充」体験をフェイスブックで発信しているが

それにも疲れてきて、やめる人が多いという。

それだけ「リア充」でない人が多いということだろう。

だのに、夢のような幸せを求め続けて、しんどい毎日を送っている。



歳を取っていく中で、自分の人生をゆっくりとふりかえるとき

これまで、自分は何を大切に生きてきたのか

これからは何が本当に大切なのだとおもって生きていくのか。


思い通りにいくことの方が少ない社会で、心の持ち方しだいで

意味のある毎日を送ることができたらいいな。

そんなことを思った。


それにしても、樹木希林さんの演技がよかった。映画「あん」もみてみたい。

「ファミリーヒストリー」で、樹木希林さんの母の波瀾万丈の人生を知った。

テレビで自分の母の人生が紹介され、少し控えめに目を潤ませていた希林さんの顔と

映画で孫の話にじんときている希林さんの顔がつながった。



「海よりもまだ深く」はテレサ・テンの「別れの予感」からきてるらしいが

樹木希林さんの演技から母の息子に対する「海よりもまだ深い」愛をいっぱい感じた。


「自分の人生の着地点が具体的に見えはじめて焦るのが50代。

40代はまだ夢を見ていられるが

50代は“自分ってこの程度の人間だったのか”というのが見えてくる。

ほとんどの人は子供の頃の卒業アルバムに書いた『将来の夢』と

違うものになっていて、そんなことを思っていたことすら忘れている」

そんなことがこの映画の紹介記事に書いてあった。



「将来の夢」と違うものになっている自分と向き合い

夢だったことすらわすれて、今やらなければならない仕事をがんばっている人はたくさんいる。


家族の生活のためだから、新しいやりがいを見つけたから、人に信頼される喜びを知っているから・・・

だろうかな。


「自分の人生の着地点か・・・」







あなたにおススメの記事
関連記事