大竹しのぶさんのファミリーヒストリーを見た。圧巻であった。

1時間15分といつもより特番のようで、見応え十分であった。

母方の祖母にあたる八重さんは、明治時代幸徳秋水らと親交があり、アメリカのサンフランシスコに渡っている。

ここでも明治政府外務省の監視下にあったらしい。

八重さんは、写真の中央で赤ん坊を抱いた人。赤ん坊は伯母にあたる敏子さん。

帰国後に、最初の子は亡くなった夫の実家にとられ、次の夫との子も、生き別れている。

その後、キリスト者で大竹しのぶの祖父にあたる

吉川一水 と再会して結婚

しのぶの母、江すてるさんが生まれている。

八重さんは、東京の裕福層の令嬢で、利発でモテモテの女性だったようで、

小山内薫の作品のモデルにもなっていた。

八重さんは、津田梅子の女子英学塾にも通っており、才女であったようだ。

吉川一水さんも キリスト教系の学校（立教）で教鞭をとっていたようだし、

しのぶの父になる大竹章雄さんも 一時期、高校の数学と倫理の教師だったらしい。

父方の家系にも、すごい人がいっぱい出てくるが、

しのぶの父の方は、地元の新潟を離れ 宮城の塩釜の方で医師になっている

しのぶの父章雄は、一度目の出征、帰還のあとキリスト教に目覚めて行き、妻や家族とも別れて

川崎に仕事を求めて、東京で 吉川一水の聖書の講談会に通い始める。

そこで、江すてる と出会い、一緒に暮らすようになる。

これまでもかなり波乱万丈であるが、さらに

しのぶの父が結核を患っていたために、空気のきれいな埼玉などに移住している。

一家はとても貧しく、学校の給食費も払えないような生活を

母の 江すてるが必死で支えたそうだ。

教師を辞めて、病弱の父に仕事はなく、一家は仕事を求めて東京へ

会社の寮の賄いと社長宅の家政婦をして、母の江すてるさんが5人の子どもたちを

育てている。

しのぶの転機は、東京へ出て女優のオーディションに受かり出してからである。

映画 青春の門が話題になった時のことを覚えている。

ここから大女優 大竹しのぶが、有名になっていくわけだが、

大竹しのぶが、今日本を代表する女優になっていなかったら

この番組もなかったろうし

大竹しのぶの祖母や母の人生を知ることもなかったであろう。

ひとつの大河ドラマにでもなりそうな 家族のヒストリーだった。



大竹しのぶが 年末の紅白歌合戦に出ていた。

なぜ歌手でもない 大竹しのぶさんが出ているのか不思議だったが

美輪明宏の枠で 選ばれたなどと噂されていた。

様々な歴史を背負いながら 舞台で歌も熱唱する 大女優 大竹しのぶさん

このファミリーヒストリーの取材は、紅白出場とリンクしていただろう。



八重さんの実家にしても、新潟の大竹家にしても

とても裕福であった。

八重さんの時代、いくら東京とはいえ、女子英学校に娘を通わせている。

当時としては最先端を行く女性であっただろう。

キリスト教がまだ一般に理解されていなかった時代に、その世界へ飛び込み

大きな愛で信じる道を貫き、夫婦、家族を大切に極貧を生きた大竹しのぶの母

その母を愛した夫の章雄は、残してきた妻と二人の子があったそうで、

章雄は亡くなるときに、その子どもたちのことを気にかけていたようだ。

祖母の八重さんにも、別れて生きざるを得なかった子どもたちがいて、

そのまた子どもたちととつまり初めて知る従兄弟と、大竹しのぶさん兄弟が この番組のおかげで繋がった。



八重さんのことを調べていた女性が、今は大学教授？とかで論文を残していた。

それがネットでヒットして、運命の糸を手繰り寄せた。

八重さんが津田女子英学塾と聞いて、すごく感動していたのが印象的だった。

昔から好奇心が旺盛で、新しい道へも飛び出していった人々は

学問の大切さを知っていて 思い切った刺激的な人生を歩むようだ。